いのちの言葉 ホスピス医 柏木哲夫医師
ホスピスに入院した患者さんが第一に望むのは身体的な苦痛の除去です。
それがある程度うまくいくと、次は必ず精神的な問題が起こってきます。
その精神的な問題をケアしていく上で、一番大切なのは気持ちを理解するということです。
私を含め、医者やナース、そして家族が頻繁に犯す間違いがあります。
それは「安易な励まし」です。
安易な励ましは、患者さんが弱音を吐きたいときにも、それを押さえつけてしまうことがあるのです。
これは、ホスピスを始める前の話しなのですが、老人ホームでステイしていた方が、末期の卵巣がんで産婦人科に入院してこられました。
その方が「先生、私は後1週間くらいで死んだ両親の元へ逝くような気がします。先生には随分お世話になったので、お役に立って死にたいと思いますが、何かできることはないですか?」と仰いました。