安定志向?

いつでも死ねる 帯津良一

安定した生活を求めることは悪いとは思いません。
しかし、あまりにも安定志向の強い人を見ていると、本当にそんな人生で面白いのだろうかと、余計なことを思ってしまいます。
私の場合、ずっと都立病院に勤務していれば、安定した生活は保障されていました。
もし、あのまま都立病院にいたらどうなっていたかと想像することがあります。
私のような出世に興味のないものは、小さな都立病院の副院長あたりで定年を迎えることになったと思います。
定年後は、保健所の顧問医でしょうか。
70歳を過ぎれば、小さなクリニックで週に1~2日の診察をすれば、何とか晩酌代は稼げるはずです。
しかし、そういう毎日で果たして楽しい晩酌ができるのかと考えれば、私の性格からすると、おいしく飲むことはできないでしょう。

定年まで働き、退職金をもらって、経済的に問題のない中でのんびり暮らすというのは、私の性分に合っていません。
不安定で浮いたり沈んだりがあるからこそ、その後の楽しみが2倍、3倍になって戻ってくるのです。