夢の違い

「手紙屋」 喜多川泰

大人になってから再び語られる夢は、子どものころに抱いていた夢とは大きく異なります。
数年間の空白の時間に、子どものころに思い描いていた夢とはまったく違う夢を持つようになるわけです。

子どものころに見る夢はとても素敵で無邪気です。
ちょっと興味のあるものから、かっこいいと思うものまで、何でも将来の夢になる可能性があります。
ところが、ほとんどの場合、それは自分の欲求を満たすための夢なのです。
自分がかっこいいと思われたいから。
自分がお金持ちになりたいから。
自分が楽をして成功したいから。
どこまでも自分中心です。
ですから。夢を抱く子どもたちも、その夢をどこかで捨てなければならない日がやってくるのです。

一方で大人になってから抱く夢は自分中心ではありません。
中学から大学時代にかけて夢を持てず、自分の人生にどんな価値があるのかを知らずに過ごしてきた若い人たちが、「自分もこんなことで人の役にたつことができる」という1つの生きる意味を見つけるところから始まる夢です。