70歳からの選択 和田秀樹
在宅看取りというのは、余命がせいぜい数か月から1年などと宣告された病人に対して、最期くらいは本人の好きなようにさせようと、慣れ親しんだ自宅で看取ることです。
たとえば、末期ガンの方が、最期までの数か月を家で過ごすか、ホスピスあるいは病院で過ごすかという選択肢のなかで「在宅死」を選ぶということなら、それは意味があると思います。
本人の意識がはっきりしていて、死期もある程度分かっているようなときには、最期までの時間を家族と一緒に過ごすことができるので、思い出づくりができるというメリットがあります。
病院であれば、その施設のルールに合わせて生活せざるを得ませんが、自宅なら、何の制約もなく自分の時間を過ごせます。
食べたいものを食べることも、そのほうが可能でしょう。
ただ、在宅看取りの場合は、家族が看取ることになりますが、いざ患者の調子が悪くなったときにあわてて救急車を呼ぶと、治療行為や蘇生が行われ、返って苦しむことになりますし、病院搬送されて家で看取れなくなる可能性もあります。
在宅看取りを決めた時には、いつでも連絡が取れるかかりつけ医や、訪問診療を行っている医師を探しておくことが重要です。