問題ある中学生の中に

ココロの架け橋 中野敏治

やや問題を抱えた学年の担任になったときのことです。
彼らは3年生になった途端、学校での姿勢、意欲、態度など、急な変化を見せてきました。
1学期からさまざまな場面でいろいろと彼らを注意してきました。
時には怒鳴り合うこともありました。
ところが不思議なもので、校舎内では、なぜか彼らと指導すべき場面で出会うことが多くあるのです。
彼らも一番会いたくない人間にどうしてこんなに会うのだろうと思っていたといいます。

夏休みが近くなったころ、廊下で話しをしていた彼らの中に入っていきました。
彼らは私を拒むこともなく、そのまま夏休みの話しを楽しそうに続けていました。
思えば2年生のときには、こうした話ができていたのです。
そんなことを思い出しながら彼らの中に入っていったのです。
話題は私の趣味の釣りの話しになり、ますます盛り上がっていきました。

「夏休み、一緒に釣りに行くか?」と声をかけました。
彼らはびっくりした顔をしたあと、隣にいる仲間と「いいかもな」と、ささやいているのです。
周りの先生や生徒から見ると、学校中で犬猿の仲のようにさえ感じる教師と生徒が、一緒に話している光景は不思議に感じたと思います。