近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
勘三郎さんは医者の指示通りに手術前の抗がん剤治療を受けます。
その結果、食道がんは見えないほど小さくなり、リンパ節の転移も半分くらいになりました。
これでいったん退院し、手術を待つのですが、退院の日の朝、驚くようなことがありまsた。
若い内科医が勘三郎さんの奥様に「これだけ小さくなっているのだから、手術をしなくてもいい選択肢があるんじゃないですか」と言ったのです。
しかし、それを奥さんに聞かされた勘三郎さんは「手術をするって決めたんだから!」と怒ってしまいました。
主治医を信頼してここまで来たのに、今更何を言うんだという気持ちだったのでしょう。
僕は、このエピソードを呼んだ時、「勘三郎さんがここで考え直してくれていたら!」と思わずにはいられませんでした。
若い内科医は、病院内のヒエラルキーを飛び越して、勘三郎さんに自分の意見を言うことはできません。
だから奥さんに言ったのでしょう。
医者は階級制です。
偉い先生が「手術をする」と言っている以上、それに逆らうことはできないのです。
しかし、手術は必要ないことが若い医師にはわかっていた。
だから、こっそり奥さんに伝えたのです。