勇気をもって生きる 日野原重明
「もっとがんばりなさい。辛抱しなさい」とは言わずに楽にしてあげる。
そして「傍にいてあげますよ」とか「家族の人にあなたのことをよく伝えてあげますよ」と、優しい言葉をかけてあげる。
そうすることで「ベッドサイドにいないときでも、先生は私のことを考えてくれているんだ」と病人が思うことができる。
それが病人の心を支えることになります。
私は16歳のあの患者さんに対して、心を支えることができなかった痛みを感じます。
モルヒネで痛みを軽くすることもできず、「とにかくがんばれ」と、死んでいく患者さんに鞭を打つようなことを言ったことを私は本当に反省しました。
私は患者さんの生きがいが何であるかを考えます。
そして、今無理をしたら先の希望が無くなるようなときには、無理は許しません。
でも、年齢が高くなり、現役時代が終わろうとしているときには、危険が伴う賭けのようであっても、私が付き添うことで患者さんが心残りのないようにできるのであれば、人にどう言われても、私はその人の側に立って行動します。