医療は患者さんのためにあるべき

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

何とか乳房温存療法を広めようと論文を書きましたがダメでした。
医者の世界では、どうしても認めてもらえなかったのです。
そこで、医者の世界に見切りをつけて、世の中に直接訴えることにしました。
雑誌「文芸春秋」に、「乳がんは切らずに治る」という論文を発表したのです。
その後は、大学でのゴタゴタをはじめ、いろいろなことがありました。
でも、今では乳房温存療法が、乳がん手術の約6割を占め主流になっています。

僕が、「がんは放置がいい」と言い続けているのも理由は同じです。
治療成績が同じ、つまり治らないし延命効果もないのに、患者さんの体を傷つけ、ときには死なせてしまう治療をするなんて、医者のエゴ以外の何物でもない。
治療をしなければ、医者にはお金が入らないし、何よりも存在価値がない。
権威も保てない。
だけど、患者さんにとって放置が一番いいなら、医者はそうすべきです。
治療は患者さんのためにするものである以上、それが当たり前なのです。