初発病巣と転移病巣

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか 近藤誠

がんには最初にできた原発(初発)病巣と、それが別の臓器に転移してできた転移病巣があります。
どっとが初発でどっちが転移か、どうして分るのだろうかと不思議に思いませんか?
大きいほうが初発、というわけではありません。
なぜ初発と転移が分かるかというと、がんにはタイプがあるのです。
たとえば、骨に初発するがんは骨がんです。
骨には、扁平上皮がんや腺がんといった、違うタイプのガンは初発しません。
したがって、骨に扁平上皮がんや腺がんができていたら、それはどこからか飛んできた転移だとわかるのです。

さらに、転移にはパターンがあります。
まず、胃や子宮には転移はほとんどありません。
大体が初発がんです。

では、喉仏のあたりのリンパ節が腫れてきて、それが扁平上皮がんだったら、その場合は、鼻腔、扁桃、舌、歯肉、咽頭、下咽頭などに初発がんがあることがほとんどです。
同じ扁平上皮がんでも、鎖骨の窪みあたりのリンパ節だったら、今度は食道や胃、肺、子宮、このあたりからの転移であることがほとんどです。
こういったパターンが、経験的に分かっているのです。