儲けたいけど難しそう

お金の賢い減らし方 大江英樹

2022年8月に発表された日銀の資金循環統計によると、家計の金融資産構成は、日本では54.3%が現金・預金で、投資性商品は14.7%しかありません。
米国の場合は、現金・預金が13.7%、株式と投資信託で52.4%ですから、日本とはまったく正反対の構成です。

日本人の多くが投資には興味がないし、投資もしていないという現実には、投資が難しそうでよくわからないということもあるでしょう。
ホンネでは儲けたいけれど、タテマエではそれを表に出さない。
だから投資には興味がないフリをしているけれど、本当はよくわからないから、やりたくてもやれないという気持ちはあると思います。

日本人は誰もが、心の中に「働くことは尊い」という強い倫理観や道徳観を持っています。
それゆえに日本人が勤勉なのだと思い込もうとしているように見えます。
キリスト教においては、アダムとイブが禁断の果実を食べてしまうという罪を犯したため、楽園から追放され、人類は働かなければならないという罰を神によって背負わされました。
つまり、「労働は罰」というのが基本観にあるわけです。

日本の場合、天照大神が高天原で機織りをしているんですね。
そして他の神様もみんな働いています。
働くことは尊いこと、労働は美徳という考え方は、おそらく日本人のDNAの中に刻み込まれているのだと思います。