近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか？ 近藤誠
僕は、死因を自分で選べるなら、がんがいい。
がんを放置して自分らしい最期を迎えた患者さんを大勢見てきましたから、がんで死ぬのは悪くないと思っています。
もし自分ががんになったら、まずは放置。
僕は健診を受けませんから、自分ががんだと分かるのは何らかの自覚症状が出たときで、それまでは必然的に放置です。
症状を緩和するためであっても、手術はできるだけ受けません。
がんが大きくなって大腸が塞がってしまったというような場合も、ステントを入れるなど手術以外の方法があるなら、そちらを優先します。
抗がん剤は、どんな場合も使いません。
そして、万が一痛みが出たら、モルヒネや放射線で取ってもらいます。
がんが苦しいのは治療を受けるからであって、治療を受けなければ基本的にがんは痛くも苦しくもないし、楽に死ねます。
がんで死ぬなら本望です。
大勢の患者さんの死に立ち会ってきて思うのは、「人は亡くなっても、残された人の心の中に生き続ける」ということです。
だから、いいイメージを残して亡くならないと、残された人が苦しんでしまいます。
自分が楽に死ぬことは、家族のためでもあるのです。