健康は人生を豊かにするための手段

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

老いを忌避するあまり、最新の医療や健康食品に目の色を変えています。
今、テレビで健康食品のコマーシャルが溢れています。
例えば、歳をとれば減少するといわれるコンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミン、コラーゲンなどです。
あれらを摂取しても、体内に吸収する段階で分解されてしまい、あの形のまま目的の場所には到達しないと考えられますので、到底、効果があるとは思えません。
もっとも人間には、気のものというのがあり、徹頭徹尾、効果ありと信じ切れば、それなりの心理効果はあると思われます。

ともかく、今の日本人は、体にいいと聞けば小便すら飲んでしまうという状況を呈しています。
問題は、健康は、人生を豊かに生きるための手段であるはずなのに、それが目的になってしまっている点にあります。
本来健康は、こういう生き方をするためには必要というものでしょう。
それが「自分の生き方」もないのに、健康だけを追い求めることに、どれだけの意味があるのでしょう。

ただ、お年寄りがこれほど目の色を変えるのは、周囲に迷惑をかけないように、健やかに老いろという圧力のすごさを示しているような気がします。