人は死ぬから幸福になれる 島田裕巳
病気に罹っていないときにこそ、「もし自分が病気になったらどうしよう」「重い病に罹ったらどうしよう」
そういう想いが湧いてくるのです。
そして、やたらに自分の健康を心配し、様々な健康法を試みてみたり、サプリメントを摂ってみたりします。
病気というのは病気になっていないときの方が、かえって恐ろしく感じられたりします。
つまり、死から遠い所にいるときほど恐怖を感じるように、病から遠いときのこそ、私たちはそれを過度に恐れるのです。
長く生きていれば、どこかに不具合が生じてきて病気になることがあります。
持病と呼ばれるような、体質に起因したなかなか治らない病にずっと苦しめられたりします。
こうなると、日々病気のことを意識しなければなりません。
すると、かえって病気を恐れている暇がなくなり、病への恐れは抽象的なものではなくなり、克服していかなければならない現実的な課題になってきます。