お金の賢い減らし方 大江英樹
投資をする反面、一方では相変わらず投資することに対するうしろめたさというのは存在するようです。
「周りの人たちに投資をしていることを言えない」だとか、「妻にも内緒でやっている」という人もいます。
この理由は、お金に対する抜きがたい忌避感があるからだと思います。
「投資のもうけは不労所得だ」という思いが心の片隅のどこかにあるのも理由の1つでしょう。
企業は、短期的に利益を上げて解散してしまうものではなく、永続的に活動を続ける存在です。
短期的に儲けようとするのであれば、まがい物を売ったり、従業員に残業代も払わず過重な労働を強いたりすればいいでしょう。
つまり、顧客や従業員を欺くような悪どいことをすれば、その時だけは利益を上げられます。
でも、それではすぐに信用を失ってしまいますから、長期にわたって利益を上げ続けることはできません。
事業活動で一番大切なことは、儲けることではなく、儲け続けることなのです。
だから渋沢栄一は、「算盤のことしか考えない奴は欲がない。道徳的であることが一番がっつりと儲かるのだ」と言っているのです。
結局、渋沢栄一が言いたかったことは、「儲けるためには道徳が一番大事だ」ということであり、この意味するところは「商売で最も大切なのは信用だ」ということなのです。