ガンになった緩和ケア医が語る 関本剛
全国の男女1,000人に「人生の最終段階に、あなたは先々の見通し(余命や治療が難しいこと)を知りたいですか」という質問をしたところ、先々の見通しを知りたいという回答が54.0%と過半数を占めたが、先々の見通しは知りたいが、予測される余命までは知りたくないという回答が18.9%、あまり詳しいことは知りたくないが11.6%となった。
でも、ほとんどの場合、患者さん本人が自分の体調の変化によって真の病名、症状に気づくことになる。
2週間以内に亡くなる可能性が高い患者さんは、1日単位で体調が変化する。
たとえば、飲み食いができなくなる。
自分でトイレに行けなくなる。
日中も眠っている時間が長くなってくる。
「こんな調子では1日に何度も医者や看護師に来てもらわないと心配」
「さすがに下の世話まで家族に任せられない」
寝たきりになったときに初めてその考えに至る患者さんは病院志向が強く、もともと自宅看取りを希望していたものの、最期はホスピスへ移るという方が出てくるのだ。
しかし、これは決して悪いことではない。
緩和ケア病棟で死ぬか、病院で死ぬか、あるいは家で死ぬか、それは良い悪いの問題ではなく、あくまで患者さんの納得感の問題である。