心あたたかな医療を 遠藤順子
主人は、主治医の先生にも院長にも、1日2日の延命のために、無駄な苦しみをさせないでとよく申しておりました。
それなのに、何の相談もなく延命器具をつけられてしまったのです。
ゴーゴーという電気の音と、ぴかぴかと電気がついたり消えたりするような音。
主人のそばに近寄ることさえもできませんでした。
ところが、翌日のお昼過ぎに先生が病室に見えて、これ以上人工呼吸器をつけていると、だんだん目が見えなくなったり、辛くなりますから、この辺でそろそろいいんじゃないですかと仰ったのです。
もうびっくりしてしまいました。
そろそろいいって、何がそろそろいいのか分かりませんでした。
どこの世界に自分の愛する主人が死のうというときに、そろそろいいでしょうと言える女房がいるでしょうか。