何のための精密検査

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

早期発見、早期治療は、完治の手立てのある肺結核で成功を収めた手法です。
これを、完治のない生活習慣病に適用しようとすることに、そもそも無理があります。

「検診や人間ドックで異常が見つかるのを怖れて受けない人がいるが、とんでのないことである」と早期発見、早期治療の推進論者の方々はおっしゃいます。
しかし、人生、知らない方が幸せということもあり、異常を知ったことで患者に仕立てあげられ、暗い人生を過ごさなければならないことも考えられます。
また、健診の結果に「異状なし」と書かれていても、「今回の検査の範囲では異常はありません」と書かれています。
つまり、賞味期限は当日限りと割り切ってくださいということです。
また、いくら病気について詳細にわかったところで、それを好転させる手立てが存在しなければ、大した意味はないことになります。
その原因が老化であったら、もちろん、老化を若返らせる方法はありません。

そこで考えなければならないことは、何のために精密検査をするのか、検査結果を踏まえ、事態を好転させる治療法があるのかどうかだと思います。