寿命が尽きる2年前 日下部羊
寿命の長い昆虫として知られるシロアリの女王や、同じく長生きのハダカデバネズミは、酸素濃度が低い環境を好むことが、長寿の理由とされています。
低酸素の環境ではミトコンドリアによる好気的酸化が抑制され、ブドウ糖の嫌気的分解が促進されて、血糖値が下がって、細胞の老化が抑制されるからです。
逆に、血糖値の高い状態、すなわち糖尿病では、そうでない人に比べて、男性で約10年、女性で約15年、寿命の短縮が認められたという恐ろしい研究結果も出ていました。
オートファージーとは、細胞内の構成部分を自ら細胞内で少しずつ分解し、細胞内部の新陳代謝を促す仕組みで、加齢に伴い多くの動物でその機能が低下することが知られています。
逆に言うと、オートファージーの機能低下が老化を進め、寿命に影響を与えている可能性があるわけです。
鍵となるのは、加齢により増えるルビコンというタンパク。
ルビコンがオートファージーの機能を低下させることは証明されており、ルビコンを作られないように制御した線虫、ショウジョウバエ、マウスで、寿命の延長が確認されています。
また寿命が延びるだけではなく、活動性も維持されることが確認されました。