お金の賢い減らし方 大江英樹
2020年に支給された特別定額給付金については、当初、コロナ禍で収入が大きく減少した世帯に対する救済策として30万円が給付される予定でした。
ところが、それに対して異論が続出し、結局すべての世帯に一律1人10万円支給することになりました。
不思議なことに人間の脳というのは、自分でない誰かが30万円得したら、自分が30万円損したと思ってしまう傾向があるようです。
この「他人がよい思いをするのは許せない」という心理が、おそらく一部の収入減少世帯のみに対する給付金について、反対する意見となってしまったのでしょう。
現実は、非正規で働く人やシングルマザーの方々は大変だったでしょうが、多くの会社員世帯にとって、コロナ禍ですぐに給料が下がることはなかったでしょうし、年金受給者にとってもほとんど影響はありませんでした。
ですから本来ならば、必要とされているところへ優先的に給付金を支給すべきでした。
にもかかわらず、全部の世帯に一律に支給した結果、そのお金の多くは消費や生活費に回らず、貯蓄に回ってしまったのです。
2020年は、前年度に比べて、個人金融資産のうち現金・預金は57兆円も増加しました。