他の人と違う人は魅力的

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

周囲に気を配り、人との協調性を重んじる人ほど「自分だけは他と違っている」ことを恐れる傾向にある。
非を相手ではなく、つい自分に向けてしまうから「自分だけ違っている」=「自分が間違っている」と考えてしまう。

しかし、人と違っていることは、決して悪いことではない。
すべての人間が一緒だったら、人類のここまでの進歩はなかっただろう。
いろんな考えの人がいて、様々な感じ方の人がいたからこそ、あらゆる分野において科学が発達し、多彩な芸術が生まれてきたのではないか。

遺伝子は親から子、子から孫へと完全なコピーをしていくのではないらしい。
ときにミスコピーが起こり、他とは違う個体を作る。
いわゆる突然変異だ。
なぜ突然変異が生まれるのか、「それは種の保存のために遺伝子がわざとミスコピーをしている」という。
まったく同じコピーだと、天災やら何らかの原因で環境が変わって適応ができなくなってしまったとき、すべての個体が滅びてしまう。
しかし、突然変異体の中に新しい環境に適応できるものがいれば、絶滅は免れ、そこからまた新たな連鎖をくり返していくことができる。

私は、他とは違う部分がある人が結構好きだ。
「面白い人だ、この人と話しをしていると勉強になる」と思わせてくれるのだ。
こういう人は、たいていが「他の人とは違う」ところを持っている変わり者である。
「ほほう、そんな考え方があったのか」「なるほど、そういう見方をすれば、そうとも言えるなあ」・・と。
世間的な常識とはずれた、独特の意見を持っている人ほど、そんな新しい視点や考え方をもたらせてくれるのである。