今に意識を置いて精一杯生きること

いつでも死ねる 帯津良一

「いつでも死ねる」という気持ちを持つことは、口で言うほど簡単ではありません。
特に、ガンという大病を患っている人は、いつも死の不安を抱えています。
できれば死のことを考えたくないはずです。

あら塩で足をもんで劇的に回復した女性がいました。
彼女は幼い子どものために、絶対にあきらめないという強い気持ちをもっていました。
でもその片隅に「いつでも死ねる」という気概があったのではないでしょうか。
入院しているときには、気功にまじめに出たし、病室に戻れば、よくなると信じて、あら塩の入ったバケツに足を突っ込んで一生懸命にむくんだ足をもんでいました。
その一方で、家へ戻ったとき、お子さんがお見舞いに来たときには、「もうこれで会えなくなるかもしれない」という覚悟を持って、お子さんたちとかかわったはずです。

「いつでも死ねる」という思いというのは、先のことを心配したり、過去のことを後悔して心を煩わせることではなく、今を精一杯生きるということです。
ガンになって、死の不安があって、そんなことを考えたくないという人は、死のことは頭から外してしまっていい。
ただし、今に意識を置いて、今を精一杯、大切に生きることに全力を尽くす。
それでいいのではないでしょうか。