ゼロで死ぬ ビルパーキンス
接着剤のビジネスで成功し、一財産を築いた友人にもこの話をしたことがあります。
50代半ばの友人は、10代から20代の3人の子供がいます。
すでに十分な資産はありますが、退職するつもりはありません。
仕事は面白く、知的好奇心が刺激され夢中になれるそうです。
業界の仲間と時間を過ごすのも好きだし、会社の従業員の生活を守る責任も感じています。
「もし仕事が楽しくなく、義務のように感じていたらとっくに辞めていたよ」と友人は言います。
つまり、老後資金が足りないという理由ではなく、ビジネスが好きで、会社が成長するのを楽しんでいるから仕事をし続けているのです。
ビジネスそのものが、人生を豊かにする経験になっているのです。
すでに十分裕福なのに、なぜさらに増やそうとするのか?と尋ねると、「これから生まれるであろう孫たちに資産を分け与えたい。それに母校の高校や大学にも寄付がしたい」という答えが返ってきました。
私は「君が現状に満足しているようで何よりだ。このまま仕事を続けて、もっとたくさんの収入を得るべきだと思う。でも是非そのお金を、今できる何かのために使ってみてほしい。母校に寄付したいのなら、今すぐすべきだ。子供や孫にお金を与えたいのなら、今そうすべきだ。そして残ったお金は、自分の人生をできる限り充実させるための何かに使うべきだ」と言いました。
だが友人は、「もともと派手にお金を使うほうではないから」と言います。
これまでも、つつましい静かな生活を送ってきたし、贅沢は性に合わないとも言いました。
ですが私はこう反論しました。
「仕事一筋で、育児以外はほとんど何もしてこなかったのだから、どんなお金の使い方をすれば満足が得られるかを知らないだけかもしれないじゃないか」と。