人は死ぬから幸福になれる 島田裕巳
人間の一生というものを白いキャンパスに埋めていく作業だと考えるならば、まだ経験の少ない若い段階では、白い部分が圧倒的多数を占めています。
それが年齢を重ねるにつれて、白い部分がさまざまな色を使って埋められていきます。
殺風景だったキャンパスは、しだいに1つの絵になっていきます。
経験が少ないということは、何かを見たとき、何か出来事に遭遇したとき、誰か他人と会ったとき、それと関連を持たせるものが少ないということを意味します。
たとえばディズニーランドに遊びに行ったとき、初めてだと何もかもが新鮮なものに映ります。
何度か訪れていると、前に来たときのことが思い出され、比較をしてみたり、懐かしんでみたりと、最初のときとは違う楽しみ方ができるようになります。
人生の経験を重ねるというのは、簡単に言えばそういうことです。