人を説得する 1

人を説得したければ、相手にも、他の誰にも気づかれないようにやる方がいいでしょう。
教えない振りをして、自分の知っていることをさりげなく相手に伝え、相手が知らないことは「忘れているのでしょう?」と言ってあげればいい。

私たちは、あまり大した抵抗を感じないで「自分の考えを変えている」ことがよくあります。
私たちは、結構いい加減な動機からいろんな「信念を持つ」ようになります。
でも、そのいい加減な信念に「他人が異論」を唱えると、「自分が正しい」と、がむしゃらに抵抗します。
この場合、私たちが重視しているのは「信念」ではなく、危機に瀕した「自尊心」なのでしょうね。

「わたしの・・・」という何でもない言葉が、実は世の中で一番大切な言葉のようです。
「わたしの家族」「わたしの恋人」「わたしの信念」「わたしの国」・・・「わたしの」の下にどんな言葉がこようと、同じ強さの意味がこもっています。
それが何であろうと、それをけなされると等しく腹を立てるのです。

「わたし」というものは、相当いい加減であるにもかかわらず、「自尊心」だけはものすごく強いのです。