「死に方」は「生き方」 中村仁一
高齢者自身がどんな状態であろうと、自分は存在しているだけで十分に役立っているのだという認識をしっかりと持ってほしいと思います。
自然は何の役に立たないものを多大の犠牲(他の命をいただくことなしに生きていけない)の下に、生かしておくほど寛大であるとは思えないからです。
介護を受ける人も、介護をする人も、またそれを援助する人も、傍観している人も、誰1人として自分だけの都合で自分勝手に生きているのではなく、お互いに生かされている存在だという自覚が、老人問題解決の原点になるのではないかと思います。
人は存在そのものに意味があるのです。
といっても、実際に身体のあちこちの調子が悪く、他人の世話になる機会の増えた高齢者にしてみれば、自分の存在に自信が持てなくなるのもやむをえないことかもしれません。
そこで本心かどうかはともかく、「早くお迎えに来てほしい」といった言葉が口をついて出ることになってしまうのです。