亡くなる直前にメッセージが

心あたたかな医療を 遠藤順子

主人が亡くなるときのことです。
これ以上は苦しみが増すばかりという話だったので、仕方がないのではないかと思い、長いことありがとうございましたと申し上げました。
そうしたら、若い先生が人工呼吸器のスイッチをぱちりとお切りになりました。
先生がおっしゃるには、人工呼吸器の余波がありますから、あと5分くらいは「いのち」があるとのことでした。
そこで、改めて主人を見ると、鼻からも口からも管が出ていて、ひしゃげた顔をしていました。
そこで、せめて鼻や口から出ている管を抜いてくださいと申しました。
私はずっと手を握っていました。
まだまだ、あたたかい手でした。
管が抜けてホッとしたのと、主人のうれしそうな顔になったのとが同時でした。

そのときです。
握った手を通して「死は終わりではない。おまえにもまた必ず会えるよ」というメッセージが響いてきたのです。
それは言葉では説明できません。
私は死んでいく人から、「愛している人を失うのはお前ばっかりじゃないんだよ、しっかりしろ!」と言われたような気がしました。
主人が亡くなったら、私はベッドの下に倒れて死んでしまうのではないか思っていたのに、このメッセージをもらって本当に立ち直れたと思います。