心あたたかな医療を 遠藤順子
主人が闘病生活に入る前、20歳で私どもの家に来たお手伝いさんが25歳で亡くなりました。
白血病でした。
入院した時点であと1カ月と言われましたので、どうせ駄目ならつらい検査を少しでも少なくしてやりたいと、主人は毎日病院に出かけては医者に検査を取りやめる交渉をしていたのですが、そのうち主人も上顎ガンの疑いで同じ慶応病院に入院してしまいました。
そして、主人が手術をする3,4日前にお手伝いさんは亡くなりました。
私はこれから手術をしようという主人に、かわいがっていたお手伝いさんの死をどう伝えようかと、恐る恐る主人の病室のドアを開けました。
すると主人の方から「ともちゃん、今死んだろう」と言うのです。
「今ね、ここへ来たよ。ニコニコして入ってきてね。だんな様の病気はガンなんかじゃありませんよ。大丈夫ですよって言って、そのまま消えちゃった」
私は言葉もありませんでした。
このときも、死んだからといってそれで終わりではないのだと感じました。