一人時間を作る

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

日々せわしい、毎日時間に追われている、これは現代人の最大のストレスの源であり、知らず知らずのうちに心の中にストレスが溜まっていく。
これを軽くしてくれるのが、一人時間だ。

ある貿易会社に働く30代のDさんは結婚して6年、3歳になる子供を出勤の際、託児所に預け、帰宅の途中で受け取ってくるという日々。
職場でも家庭でも、一人の時間などほとんど取れない。
そこで彼女が工夫をしているのが、職場の昼休みの過ごし方なのだという。
お昼休みは、職場から離れ、外の空気を吸いに行く。
同僚に、一緒にと誘われてもきちんと断る。
一人でいるときは、仕事のことや子供や家庭のことは考えない。
職場近くの、緑豊かな公園までぶらぶら歩きながら、道沿いのお店のショウウインドウをのぞき、途中でサンドウィッチを買って、ベンチで食べる。
天気のいい日には、少し遠回りをしたり、思わずこくりこくりと居眠りをしてしまうこともあるそうだ。

一日一度わずかな時間だが、一人になることによって、忙しい毎日に流されて自分を見失うことなく、どうにかこうにかやっていけるように思うと彼女は言う。
一人時間を作ることによって、「追いかけられる」ことから一時避難をする、ということだ。