70歳からの選択 和田秀樹
セロトニンが不足すると、心のバランスがとりにくくなり、イライラを招く上、うつ病の原因にもなります。
現在のうつ病の薬の多くは、脳内のセロトニン量を増やす作用を持つものです。
60代以降、このセロトニンが大きく減少する危機が訪れます。
それは定年退職です。
セロトニンは運動や外部とのコミュニケーション、さらには日光を浴びることによって分泌が増えることは分かっています。
定年退職により会社に行かなくなることで、外に出る機会が減ります。
駅まで歩くのが唯一の運動だった人が、それもなくなり、日光も浴びないということになれば、脳内のセロトニンも減っていくことになるのです。
幸福感のキーワードは、運動・コミュニケーション・日光・睡眠・肉です。
朝の散歩や日光浴をしながら仲間とオープンテラスで昼食といったことも、セロトニンを増やすには有効です。
加えて、良質な睡眠による早寝早起きもセロトニンを増やすことにつながります。
また肉を食べることでセロトニンが増えることが分かっています。
肉に含まれるアミノ酸などが、セロトニンをつくる材料となるわけです。