ガンにかかったことに心から感謝

生きがいの力 柴田高志

やっと回復室から病室に移れました。
しかし、傷跡に滲出液がたまると呼吸困難になるからと、液を抜くための3本の細い管を皮下に埋め、その先に大きなバッグをぶら下げていました。
縛り付けられたような状態ですから寝返りも打てず、苦しかったですね。
ただ寝ていることが、こんなにつらいのかと思いました。
そうして1週間後、比較的早く治ってきたので、主治医に言われるまま、恐る恐るベッドの上に起き上ってみました。
すると、窓から市街地がパーッと広がって見えたのです。
その時は本当にうれしかったですね。
さらに1歩1歩歩けることが、こんなにうれしいことかなと思いました。

手術をしてから、私の生き方もガラッと変わりました。
まさにあるがまま、物事にあまり捉われなくなったのです。
非常に気楽で、幸せな日々を送れるようになった気がして、がんにかかったことに今も心から感謝しています。