ガンになった緩和ケア医が語る 関本剛
私は、コロナ問題に関する報道を見て、家族に次のような話しをした。
私が日々訪問している在宅療養中のガン患者さんたちは、病状が悪化すると、ほとんどの人がコロナに感染してもしなくても発熱するし、咳もするようになるため、私自身の感染リスクを排除することは不可能と感じていたからである。
「もし、今の自分がコロナに感染して重症化し、人工呼吸器を装着するような事態になったときは、その呼吸器を他の助かる人に譲ってほしい。ただ、辛いのは嫌なので、緩和ケアは手厚くしてほしい」
これは、私の本音だった。
基礎疾患を抱えた私がコロナで重症化した場合、人工呼吸器を装着しても、人工心肺を回してもらっても、助かる可能性は低い。
そして、ギリギリの情況で自分がこのような希望を医療者や家族に伝えられる可能性も低いからである。