明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫
私たちは小さいころから人と比較しながら生きています。
仕事、収入、学歴、容姿、家柄・・・。
人と比べてしまうから悩み事は尽きません。
みんな、人との比較で悩んでいます。
がん哲学外来にやってくる人の中には、病気になったことで仕事を干されたり、職場を替えられたりして、生きる目的をなくしてしまった人たちがいます。
そうした人たちに私は言います。
「仕事は暇な方がいいんだよ。どんな仕事であっても、どんな職場であっても、衣食住が足りていればいいんじゃないですか。生活していけるだけの給料がいただければそれでいいんですよ」
すると、みなさん仰います。
「それでは私の存在意義がありません。私は昔と同じように働きたいのです。もうあの時の自分には戻れないのでしょうか」
病気になる前の自分を「最高の自分」と思い、今の自分と比較しているのです。