さまざまな転機が・・・

70歳からの選択 和田秀樹

高齢者で、よく「おしっこが近くなるから水分を控える」という人がいますが、これは危険です。
高齢者になると水分を蓄えている筋肉が減少するため、体内の水分が減少します。
また、腎臓機能の低下や糖尿病などによって、尿量が多くなることも珍しくありません。
そのため高齢者は水分不足になりがちなのですが、感覚が鈍くなっているので、のどの渇きを覚えにくく、夏などは家の中にいても熱中症になるケースが少なくありません。
血管内で水分が不足すると血液が濃くなるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも増します。
ですから、高齢になるほど意識的に水分を補給して、尿や便をどんどん出したほうが体にいいのです。
そうしたことを気にせず行うためにも、おむつを履くことに慣れておくことが重要なのです。

60代になると様々な転機が訪れます。
定年、子どもの独立、親との死別・・・。
夫婦の場合、その結果、数十年ぶりに二人きりの生活が再来することになります。
その期間は平均して20年以上は続くことになります。
ところが、60代の高齢者夫婦には、二人でいることに慣れていない人たちが多いのです。
女性は閉経後、男性ホルモンが増えるから元気になって、外出も好きになり、人づきあいが盛んになります。
それに対して、男性の方は男性ホルモンが減っていきますから、人づきあいが億劫になり、外出も嫌になるのです。
こうして、よりアクティブになって新しい世界を開拓していく妻と、次第に内にこもるようになっていく夫の間には、深い溝ができるようになるのです。