なんとめでたいご臨終 小笠原文雄
2015年6月、健康が取り柄の岡さん(73歳 女性 すい臓がん)は、腹痛を訴えて自宅近くの診療所に行きました。
検査をすると、すい臓がんの疑いがあると言われました。
驚いた岡さんが病院に入院して精密検査をすると、病院の主治医から
「岡さん、すい臓がんでした。8月4日に手術をしましょう」
と言われ、その日を待っていると今度はこう言われます。
「岡さん、がんが転移していないか確認したほうがいいね。別の病院が新しいMRI(磁気共鳴画像装置)を買ったから、手術の前日になるけど8月3日に検査に行ってきてね」
病院の主治医に言われた通り、岡さんはMRIの検査に行きました。
すると「転移してなかったよ。よかったね。明日の手術に備えてね」
と主治医から言われ、岡さん夫婦は安堵し、手術に備えました。
翌日、手術の予定は6時間。
しかし、開始から1時間半後、岡さんが手術室から出てきました。
主治医から呼ばれたご主人は、驚くべき説明を受けました。
「開腹したところ、がんが肝臓に転移していました。手の施しようがなく、そのまま閉じました」
岡さんもその事実を知り、ご夫婦は怒り心頭です。
しかも余命5か月と告知されたのです。