これっていじめ!?

ココロの架け橋 中野敏治

事件は男子更衣室で起きました。
ある生徒が更衣室でカバンを置いていたら、そのかばんの一部が切られたのです。
かばんは修理をすれば直ります。
でも、生徒の心は治ることがありません。

誰が切ったのか分からぬまま、クラスの生徒と話しをしました。
生徒たちとの話し合いは、誰がやったのかという犯人捜しになっていました。
かばんを切られた生徒は、下を向いたままでした。
彼は以前にも、持ち物にいたずらをされたことがありました。
生徒たちの犯人捜しが続く中、ある生徒が「先生!これっていじめじゃないの?」と発言したのです。
クラスがざわつきました。

いじめについて、私は生徒たちと今までも何度も話し合ってきました。
でも、その話し合いは、資料などを使っての話し合いで、実際に自分たちがかかわった話ではなかったのです。
「何でこんなことをするの」
「自分がやられたら、どんな気持ちなの」
「何かあるなら、言葉で言えばいいのに」
「でもクラスの誰かがいじめをしたんでしょ」と、様々な思いを話しだしました。