これからの生き方に

生きること、創ること 小椋佳

私たちはこれから人間社会の中でどのような姿勢をとるのが望ましいのか。
2つの言葉を用いてお話しさせていただきます。
1つは「振る舞い」という言葉です。
「振り」とは、私たちが生まれ育つ過程で、人まねで身につける行為行動のパターンです。
一方、「舞い」は、これこそ他でもない私の行為行動、真似でもなく、自らで生み出す創造的な行為行動のことです。
つまり「振り」と「舞い」の両方が果たされてはじめて、人間は人間として成立しているのだという叡智に、学ぶべきときを迎えているようです。

もう1つは、「異なり」という言葉です。
たとえば真っ白い紙の上に何か1つの黒い点が見えたとします。
これを古の人は「異」と名付けました。
そして、何か他と違う物事が成立した時、それを「異」が「成る」、「ことなり」という言葉で表したのです。
他と違う自分を確立することによって、私が私となる。
つまりは「個と成る」と言えるのだと思われるのです。