がん免疫療法

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

一口にがん免疫療法と言っても、様々な方法があるのですが、現在最も盛んにおこなわれているのは、免疫細胞を用いた治療法です。
特定の種類の免疫細胞を患者さんの体内から取り出し、それにがん細胞の特徴を覚えこませて増やし、体内に戻すというものです。
こうすることで、免疫細胞が効率よくがん細胞を攻撃できるようになると考えられているのです。

しかし本当にそうでしょうか?
免疫細胞ががん細胞を攻撃するなら、がんは大きくなる前に攻撃されて死んでいるはずです。
がんの塊には、検査で発見される最小サイズの直径1センチ程度のものでも、がん細胞が10億個も集まっています。
がん細胞が10億個にまで増えるのを許してしまった免疫細胞が、いきなりこれを攻撃するようになるのでしょうか?

体内に元々ある免疫細胞だってがん細胞の特徴は覚えているはずなのに、がん細胞が増えるのを許してしまったのです。
免疫でがんを予防したり治したりすることは、原理的にできないと考えるべきなのです、

欧米では、免疫細胞療法は効果がないというので、見向きもされません。
それどころか、免疫と名の付く治療法でがんを治すなどと言ったら、その医者は詐欺師扱いにされてしまいます。
日本ではがん免疫療法を行う大学病院もありますし、クリニックもどんどん増えています。
保険適用ではありませんから、費用は数百万円から1,000万円に達することもあるようです。
それなのに、がんが治るどころか延命効果もないのです。