近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
私が伝えてきた「手術、抗がん剤、がん検診は無意味」という証拠やデータは、すべて医学書の中に記載されていました。
ただ各領域の専門家たちが、それを社会に向けて発信してこなかったので、誤った社会通念が出来上がってしまったのです。
例えば胃がんに関して専門家たちは、早期胃がんを放置しても育たないことをよく知っていました。
がんは「本物」と「もどき」に分かれる。
本物は治療しても治らない。
もどきは放置しても命を奪わないから治療は無意味
僕がこの主張をはっきり打ち出したのは、1996年の拙著「患者よ、がんと闘うな」(文芸春秋)でした。
そして、いわゆる「がん論争」が勃発しました。
その時、論客だということで、丸山雅一癌研究会付属病院内科部長(当時)が僕との討論相手に祭り上げられたのですが、彼は「早期がんを3年放置しても、ほとんど変化しないということは日本の専門家にとって常識以前のことです」と言ってしまったのです。
それなのになぜ、臨床現場では早期がんを発見したら、直ちに切り取ってしまうのか。
それは、早期がんを放っておいても育たないという真実が明らかになったら、手術が激減するからです。