がんで亡くなる人が増えているんのは、高齢者が増えているから

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

一般に、がんで亡くなる人の数が増えてきていると言われる最大の原因は、高齢者が増えていることです。
高齢になればなるほど、がんを発症する率は高くなり、がんで亡くなる人も増えます。
そのため、高齢者の数が増えれば、がんで亡くなる人の数も増えるのです。
事実、50代なら50代、60代なら60代というように、がん死亡率を同じ年代ごとに比べると、戦後より今の方が減っているのです。

お酒を飲むと肝臓がんになる、たばこを吸うと肺がんになる。
よくそう言われますし、病気になると医者も「お酒とたばこはやめてください」と言ったりします。

まずタバコは、放射線や排気ガスなどと同様に、明らかに発がん性があります。
タバコを吸うと、がんになる確率が高まるのです。
しかも、タバコが関係するのは肺がんだけではありません。
タバコを吸う人は、咽頭、下咽頭、食道、胃、すい臓、膀胱なども、がんになりやすいのです。
これらの臓器は、煙となって吸い込まれたタバコの成分の通り道であったり、吸収された成分が血流に乗って、届いたりするからです。
ただ、長年にわたってタバコを吸い続けてきた人は、既に、がんがどこかに潜んでいる可能性があるために、残念ながら「タバコをやめたらがんにならない」と言い切ることはできません。

アルコールも、WHOに認定されている、れっきとした発がん性物質です。
しかし日本では、肝臓がんはC型肝炎ウイルスの慢性感染からなる人が多い。
アルコールが原因の肝臓がんは少ないのです。