
近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
本物のガンは治らない、こう言うと「がんは治せる時代になったというのはウソなのか!」と怒る人がいます。
「じゃあ、がん患者は希望を持てないんですね」と落ち込んでしまう人もいます。
残念ながら、血液のガンの一部を除いては、今のところ人類はまだ本物のガンを治せません。
「がんは治る」と言っているのは、がんもどきを治療して「治った」と錯覚しているだけなのです。
でも人は、がんができただけでは死にません。
それにがんがあってもなくても、人はいずれ必ず死にますし、いつ死ぬかは誰にもわかりません。
がんがあってもなくても、明日死ぬかもしれないし、100歳まで生きるかもしれないのです。
だから、がんが見つかっても落ち込むことはありません。
寿命を短くするようなことをせず、死ぬまでの期間ができるだけ長くなるよにすれば、いいのではないでしょうか。
死ぬまでの期間を延ばすには、手術を受けない、抗がん剤をやらない、無駄な放射線治療を受けないことです。
先進医療や民間療法や健康食品等々もやらない。
それが一番手っ取り早くて確実な方法です。
だから、できるだけ長く生きたいと思ったら放置するのがベストです。
そうすれば、病院のベッドに縛り付けられることもなく、痛みに悩まされることもなく、QOLを高く保つことができます。
病院にいてはできないことや、痛みがあるとできないことが、たくさんできます。
自分らしい人生を最期まで送ることができるのです。
がんを放置することは、希望を捨てることではありません。
がんを放置することで、より長く、より自分らしい人生を生きることができ、人生を充実させられます。
がんと闘うのが人生ではありません。
がんを放置するとは、この先の人生に新たな希望を持つことなのです。