お願いしたい3つのこと

私はガンで死にたい 小野寺時夫

私の認知症が進行したら、自宅にいようと施設にいようと、ぜひお願いしたいことが3つあります。

① かわいそうなどと思わずに、食事を徐々に低カロリー、低タンパク質にしてください。こういう食にすると、飢餓感が気がかりでしょう。しかし、空腹はある期間を超えると、つらくなくなることを何人もの患者さんから聞いています。

② 施設に入っても、胃ろうは断固拒否いたします。「胃ろうは断る」と本人が話していても、高度認知症になると結局は胃ろうを作られる可能性が高いので、私は自分の意思を文書にし、娘たちにも受け入れないように話しておきます。

③ 不穏や徘徊がひどいときや不眠が続くときは、向精神薬や睡眠剤を多めに出してもらいます。がんで苦痛緩和を受けながら寝たきりになって、いよいよ最期が見えてきたら、麻酔薬で眠らせる「鎮静」をお願いしたいです。しかし、これは頼んでおいても簡単にはやってもらえないような気がします。延命だけが医療ではなく、不治の激しい不穏や苦しみを心地よい眠りにかえるのも医療だと思っています。ですから、状態によっては「鎮静」を希望するのです。しかし、死の文化の未熟な今の日本では、「鎮静」は安楽死に通じるという社会の目を医師が気にする可能性が高く、いくら本人の希望とはいえ、医師が実施するのは容易ではないと思います。それでも、医師には強くお願いしておきます。