お金持ちになりたい 1

人生の目的をお金というただ一点に定め、すべての時間をお金に注ぎ込み、それ以外には目もくれない。
それぐらい徹底して「金の亡者」になれれば、富があなたの元へ集まるようになるのでしょうか。
「それは、どうも違う」というのが、社会学の祖ウエーバーです。
むしろ、「お金という富の執着を捨て、ストイックに働いた人が結果としてお金持ちになった」とウエーバーは言うのです。

ウエーバーは、カトリックとプロテスタントの人々の経済格差に目を付けました。
カトリックは、死後に救われるかどうかという不安は「免罪符」という協会が営利目的で販売する紙切れを買ってしまえば、それで解決すると信じました。
それ故に、しゃにむに働くモチベーションはありませんでしたし、最低限生活できるお金を稼いだら、それ以上は働きませんでした。

プロテスタントの神学者カルヴァンは、免罪符を求めれば救済されるとする考え方を改め、キリスト教の原点に立ち返らせようとしました。
聖書を丹念に読み込んで「予定説」という考え方を確立します。
それは、神は最初から「救うべき人間」を独断で決めているという考え方です。
これでは、誰が神に救われる人なのか分かりません。
分からないので、不安と緊張が生まれます。
よって人々は、必死になったのです。
「私は救われる人間である」という確信を自ら生み出すために、与えられたすべてのエネルギーを注ぎ込んで、神から与えられたやるべき行いに専念しようと人々は考えました。
欲望を律し、贅沢を排し、気を抜くと不安に駆られるので、せっせと勤しむようになりました。