お母ちゃんは欲しゅうねえ

64歳 女性の投稿

今でもはっきり覚えています。
小さいころ、母と二人で行った夏祭りの帰り、のどが渇いた私に1本のサイダーを買ってくれました。
「お母ちゃんのは?」と尋ねた私に、「お母ちゃんは欲しゅうねえし、のどは渇いておらんからいらん!」と言う。

それなのに、私がお腹が膨れて飲めなくなったサイダーを、とてもおいしそうに一気に飲んでしまったお母ちゃん。
それどころか家に帰るなり、やかんのお茶をがぶがぶ飲んでいるではありませんか。

その頃私は、母の心を見抜くことはできず「変なお母ちゃん、なんでお母ちゃんもサイダー買わんかったのやろ?」と思ったものです。
その日暮らしの貧乏な母には、サイダー1本といえども大変で、自分はこらえて、私に人並みに買ってくれたのでした。 

感謝!