おばあちゃんの宝物 2

高校に入ると、私は近くのお弁当屋さんでバイトを始めました。
学校はアルバイト禁止で、担任の先生も私がバイトをしていることを薄々勘づいていたと思うけど、私の家の情況を知っていた先生は見て見ぬふりをしてくれていました。
バイト代が入るようになると、お金を使えるようになった私は、おばあちゃんの誕生日にひざ掛けやマフラーをプレゼントしました。
そんな時もおばあちゃんはいつも
「ばあちゃんにお金なんか使わなくていいよ」
と顔をしかめましたが、後で必ず「エリちゃん、ありがとね」と言ってくれました。

高校を卒業した私は、学費をお母さんに援助してもらって保育系の短大に進みます。
でも・・・私は結局その短大を中退することになります。
あばあちゃんに認知症の症状が出始めたからです。
おばあちゃんはすっかり物忘れがひどくなって、同じことを何度も口走ったり、外に出かけると帰って来れなくなることも度々で、やがて一人で放っておけなくなりました。
おばあちゃんが診断を下された”アルツハイマー型認知症”というのは、徐々に進行する病気だと分かっていたので、私はずっと一緒に暮らしてきたおばあちゃんと少しでも長く時間を共にすることを選びました。