いかに生きるか、いかに死ぬのかに向き合っておく

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

ホスピス入院中に、最後の力を振り絞って、懸案だった誰それと仲直りを実現させたとか、親の墓参りや故郷へ帰るのを手伝って本人を満足させたとか、というような話しが語られます。
しかし、考えてみればそんなことは、各人が自分で自由に動ける間に、還暦や古希などの人生の節目で、始末をつけておかなくてはいけないことです。
死を考えないようにしてきたツケの大きさが、うかがえます。

また、余命少ない人が医者にすがるのも、あまり感心しません。
なぜなら、いかに生きるか、いかに死ぬかは人生の問題で、医療で解決できる問題ではないからです。
一般に医者は、医学の勉強をして医師免許を持っています。
しかし、特別に人生勉強をしてきたわけではありませんし、人生修行もしていません。
また、さしたる人生経験もありません。
そんな医者に、いかに死ぬかという、むずかしい人生問題を突きつけるのは可哀そうすぎます。
医者には荷が重すぎて、そういう患者のところから足が遠のくのは、無理からぬことです。