「あなたを生まなければよかった」の罪

人生を楽しむ 小林正観

子育てがうまくいかずに、ノイローゼになり、子どもを殺してしまったというようなことがニュースになります。
子どもを殺した親に共通していることは、自分自身が自分の親から「あんたなんか産むんじゃなかった、産まなければよかった」と言われ続けていたという事実です。
それは、子どもの根源的な部分を壊してしまうことになるので、親子関係が醸成されず、言われた子ども自身が、自分の子どもに愛情を持てなくなってしまいます。

殺してしまった親は、刑務所に入ってカウンセリングを受けても子どもに対して愛情が湧いてこないようです。
そして「子どもを殺して申し訳なかった」と言わないそうです。

そこで、刑務所に入っている人の親を連れてきて面会をさせます。
そして、「あなたには若いころにひどいことを言ってしまったけれど、本当はあなたをすごく愛していた、あなたが可愛かったのよ」と、何回でも何十回でも言ってもらうのです。
何十回も「あなたを愛していた、あなたが可愛かった」という言葉を聞いて、初めてそこで心が緩む人もいるそうです。
そして「ああ、自分の子どもに悪いことをしてしまった」と、涙を流すことがあるそうです。

面会に来る親がすでに亡くなっている場合は、刑務所にいる人の心は緩みません。
ですから私たちは、自分の子どもに向かって「あなたを生まなければよかった」などという言い方はしては絶対いけないのです。