4人の奥さん・・・・

dscn03224人の奥さんを持った男の人の話です。 この人は第一夫人をこよなく愛し、お腹が空いているといえばおいしいものを食べさせ、暑いといえば団扇で扇いであげます。 第二夫人と第三夫人は、第一夫人より会う回数は少ないのですが、会えば第一夫人同様に優しくしていました。 しかし、第四夫人だけは違いました。その存在すら忘れられているようでした。第四夫人はじっと主人の傍にいるのですが、声もかけてもらえません。

ある日、その男が遠い国へ旅に出ることになりました。男は第一夫人を誘ったのですが、夫人は「私はこの国にいて、あなたが贅沢をさせてくれるから一緒にいただけです」と言って一緒に行くことを拒みました。 男は第二夫人を誘ってみました。彼女はこう言いました。「第一夫人が断ったのですから私も行きません」と。 男は仕方なく第三夫人にも声をかけてみました。彼女は「第一夫人も第二夫人もずいぶん薄情ですね。私は国境まではお送りします」と言いましたが、やはり一緒に旅立つことを拒みました。 最後に男は一応第四夫人に声をかけてみました。第四夫人は「はい、私は喜んであなたについていきます」と微笑みながら応えてくれました。

実は遠い国というのは、「死への旅立ち」のことで、第一夫人とは自らの肉体のこと、第二夫人は財産、第三夫人は子どもたち、そして第四夫人は男の中に存在する「仏のこころ」だったのです。