38歳でガンになって 2

自営業をしていた当時は、正直「俺が食わしているんだ」というエゴがありました。
でもこの病気を機に、奥さんの有難みに気がつくことができました。
満身創痍になって、やっと感謝の意味を知ったのです。
僕は、いろいろな人に助けられていることも知りました。
奥さんが病院に来るとき、子供の面倒見てくれた奥さんの親友、奥さんのお母さん、僕の親友・・・。

いつ死ぬか分からないということで、自分のやるべきことに期限をつけることができます。
期限があるので、頑張ります。
それが充実した一日にしてくれるのです。

病気になって、エゴが少しずつ取れていって、人に頭を下げて「助けてください」と言えるようになりました。
自分が悪ければ「許してください」と言えるようになりました。
心から「ありがとうございました」と言えるようになりました。

人の命には限りがあります。
当たり前の一日に感謝し1秒1秒を大切に生きることを、病院で出会ったもう手の施しようのない人たちから教わりました。
でもあの人たちは、いつでも笑っていました。