6時半の晩酌のために

いつでも死ねる 帯津良一

私は、どんなに忙しいときでも、夕方の6時半になると必ず仕事を終えて、病院の職員食堂でビールをグイッと飲みます。
この時の言葉にできないほどの幸せな気持ちは、分かる人には分かると思います。
夕方の一杯のビールをいかにおいしく飲むか。
ひょっとしたら、それをテーマに1日を生きているのではないかと時々思うことがあります。

私は、自分で言うのもおかしいですが、忙しさにかけては誰にも負けないと思っています。
1年365日、休むことはありません。
なのに、なぜ、6時半に晩酌ができるのか。
それは、毎朝二時半に起きて仕事をしているからです。
夕方の6時半に仕事を終わらせるため、外来の患者さんがたくさんいるときは、お昼ごはんを抜くときもあります。
患者さんとは、短時間であっても、とても中身の濃いコミュニケーションをとります。
私の中でも、充実感、達成感がぐーんと高まってきて、腹の底からエネルギーが湧き上がってくるのを感じます。

何かストレスのかかったことがあるとします。
それでも、ああこのストレスがビールをおいしく飲ませてくれる元になると思うと、どんなストレスでもありがたく感じられてきます。