1人称の幸せには限界がある

今日が人生最後の日だと思って生きなさい 小澤竹俊

子どものころ、私は幸せになりたいと真剣に考えていました。
お金儲けたり、有名になったりといったことを通して、自分だけが幸せになる「1人称の幸せ」に限界があることは、何となく分かっていましたが、「本当の幸せ」とはどういうものなのか・・・。
辿り着いた答えは、自分がすることを通して誰かが喜び、その人の喜びを自分の喜びにできたら、真の意味で幸せになれるんじゃないかというものでした。

ところが、いざなってみると、医者というのは非常に無力なものでした。
医者は、患者さんの
「なぜ自分だけがこんな病気になるのか」
「なぜ頑張って治療をしているのに、よくならないのか」
といった問いかけに答えることも、
「私は死なないですよね。死なないといってください」
という魂の叫びに応えることもできません。

最初のうちは「どうにかして患者さんの苦しみを和らげたい」と必死になり、緩和医療、心理学、哲学、宗教、あらゆる角度から勉強しましたが、医療の現場に戻ると、それらの学問はすべてを解決してくれませんでした。